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皐月とは ~5月の別名~

5月だけは、漢字の読み方がそのまま別名と同じ読み方になりますね。「五月」と書いて「さつき」。代表的な別名は「皐月(さつき)」です。
この「皐月」は、花の「さつき」でもあります。皐月の頃に咲く花だから「皐月」と名付けられたそうです。
このように、他の月と比べ「五月」という月の名前が付く言葉が多いので、今回はそれも紹介したいと思います。

皐月(さつき)の由来

よくある説として「苗を植える月=さなえづきという呼び名が縮まり”さつき”となった。皐は神にささげる稲という意味があるため、この漢字を当てた」というものがあります。
また、爾雅(※)という中国古書の釋天の編にある月の説明にある、「五月為皋(五月を皋(=皐)と為す)」というこの言葉が「皐月」の由来ではないか、説もあります。

ちょっとよく分からなくて色々調べてみました。以下はその内容と、私の見解です。
「皐」の字の成り立ちは「白い頭骨と白骨化した獣」ということで、なぜ神に捧げるという意味が含まれたのかよくわかりません。
この「皐」は、音読みは「こう」ですが、訓読みは「さつき」「さわ」で、そもそも沢、水辺の岸、など水に関係した意味があるようです。
皐の字には、白という部首が使われているように、そもそも白を表す漢字でもあったようです。水が太陽に反射すると白くキラキラ光りますが、そこから「さわ」などの水に関係する意味も含まれたのでは、とのことのようです。
稲を植える田んぼ、旧暦の皐月の時期は一面に水が張られています。キラキラと白く反射することから、中国では「皐」を使ったのではないかと想像しました。日本はそれに倣って皐月としたのかなと思いました。

※爾雅(じが):紀元前140年頃にすでにあったとされる、中国最古の字書。こんなに古いのに「古典を正しく読むための」書らしい。

他の別名には何がある?

早苗月(さなえづき)、早月(さつき)

早苗(稲の苗)を植える月なので、早苗月と呼ぶそうです。
皐月が早苗月の略称という説明も多くありますが、早苗月が略されて早月(さつき)となり、それに漢字を当てたものが皐月、になったと考えられますね。

橘月(たちばなづき)

橘の花が咲く月だから、というのが由来です。橘の花は5~7月に開花するそうで、新暦である現在でも、ちょうど皐月の頃に橘が咲いているのを見かけます。

雨月(うげつ)

旧暦の5月は、現在では6月。梅雨の時期にあたります。このため、「雨の月、雨月」という名前が付くのも自然ですね。

五月雨月(さみだれづき)

旧暦5月頃には長雨が降ります。いわゆる梅雨の別名が「五月雨(さみだれ)」です。
雨月と同じように、梅雨の月というストレートな名称ですね。
「さみだれ」という言葉もよく使われますが、それは下で説明します。

月見ず月(つきみずづき)

雨月、五月雨月同様、違う観点でみれば雨で月が見えない月、月見ず月。風流ですね。

菖蒲月(あやめづき、しょうぶづき)

花のアヤメとショウブは花だけ見ても区別がつきませんが、漢字まで同じとは。という感じですが、いずれにしても旧暦5月にはアヤメもショウブも咲き誇る季節です。
このため、あやめづき、またはしょうぶづきという名前があるようです。

※アヤメ(菖蒲)、ショウブ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)の見分け方
どれも同じような花を、同じような時期に咲かせますが、見分けるポイントを2つご紹介します。
・花びらの付け根:アヤメは網目状の模様。ショウブは黄色い線。カキツバタは白い線。
・生息する場所:アヤメは陸地。ショウブは水辺。カキツバタは水の中。
ちなみに咲く順序は、カキツバタ→アヤメ→ショウブのようです。

建午月(けんごづき)

旧暦での皐月の別名です。1月の「寅」から干支のまわりで5月は「午(うま)」となります。
これまでにも書いたことですが、ここでも簡単に説明します。

北の空に常に見えているひしゃく形の北斗七星、そのひしゃくの柄にあたる部分が、旧暦の5月では「午の方向」を指す(建(おざ)すという)ため、建午月と呼ぶそうです。

「五月」が付く言葉

五月躑躅・皐月躑躅(さつきつつじ)

花の「サツキ」は、このサツキツツジの略称です。
日本原産の植物で、まさに旧暦の「さつき」に咲く花です。
ただ、現在の5月に咲く「つつじ」という花がさつきとよく似ていて区別がつかないという混乱を引き起こしています。


※つつじとさつきの見分け方
・花と葉の大きさ:つつじの花は約6cm・葉は約4~5cm、さつきの花は約4cm・葉は約2~3cmで光沢あり。
・おしべの数:つつじ5本以上、さつき5本。これが決定的な違いですね。
・咲く時期:つつじは4月から5月中旬、さつきは5月下旬から6月上旬。

五月晴れ(さつきばれ)

昔と今とで、意味が変わった言葉です。旧暦5月は梅雨のため、元々は梅雨の合間の晴天を指していました。
しかし新暦に変わった今では、5月の晴れ渡った空を指します。

五月雨(さみだれ)

元々は、旧暦5月に続く長雨=梅雨のことを指した言葉でした。しかし今では”長く続く雨”として使われることは少ない印象ですね。
今よく使われるのは、ビジネスシーンでの「五月雨式にお伝えして・・」といった使われ方でしょうか。これは「途切れがちに繰り返したり、だらだらと続けること」という意味で、きっと梅雨時期の雨のイメージなのですね。

五月蠅い(うるさい)

旧暦の5月、雨が続くようになるとハエが活発に飛び回ってうるさいことから、この漢字が当てられたようです。
ちなみに、うるさいといえば「煩い」という漢字もありますね。
「五月蠅い」は、文字通り”音が大きくてうるさい、やかましい”という否定的な意味で使われるのに対し、「煩い」は音もそうですが、面倒とか厄介、こだわりといった意味も含まれるそうで、心理的な面が多分に含まれるようです。
例えば「煩い」は”ワインに煩い”(こだわりがある)、”蚊が煩い”(耳元の蚊は心理的に大ダメージ)などでも使われますが、「五月蠅い」はこの場合には使われません。

五月人形(ごがつにんぎょう)

5月5日の端午の節句に飾る、兜や鎧、鯉のぼりのことを五月人形といいます。
子供の厄を引き受けたり、強く立派に成長することを願って、男児一人ひとりに用意されるものです。

五月豇豆(ごがつささげ)

インゲン豆のことだそうです。
なぜゴガツササゲという名称なのかの説明が、探しても見つからないのですが、旬の始まりが旧暦5月頃だったようなので、それが名前の由来でしょうか。

五月病(ごがつびょう)

新年度の4月に入学・入社・異動した人が5月のゴールデンウィーク明け頃になる、心身の不調のことです。
正式な病名ではないのですが、学校や会社に行きたくなくなったり、集中できなくなったり無気力になったり、眠れなくなったりするのですが、放置しておくとうつ病になってしまうこともあるようで、注意が必要です。
環境が変わってからの1~2か月は、大抵の人は慣れようと努力することで疲れがたまっていきますが、中にはその環境が自分に合わずに適応障害を起こしていることもあるようです。