3月の代表的な別名に「弥生(やよい)」があります。
1月の睦月、2月の如月、は「月」が付きますが、3月は突然「弥生」と「月」が付かないんですね。「月」が付かない別名は3月の「弥生」と12月の「師走」だけですよね。
2月は春を待つ別名が多かったですが、3月はいよいよ春が来た!という気持ちがあふれた名前が多いです。1,2,3という番号ではない、意味を持った名前はそういうところがいいなと思います。
弥生(やよい)の由来
3月は草木が一斉に芽吹く月です。それを例えている「木草弥生い茂る月(きくさいやおいしげるつき)」がいつしか「弥生」となった、というのが有力な説とのことです。
また「弥生」は「いやおい」と読んでいたのですが、それが繰り返されるうちに「やよい」と読むようになったようです。例えば「弥栄」を「やえい」とも「いやさか」とも読むところに表れているような気がします。
「弥」には”ますます、いよいよ”という意味があり、「生」はもちろん生きるという意味もありますが、”草木が生える”という意味もあります。
いよいよ(ますます)草木が生える、という意味はとてもぴったりだと思いますが、どうして「弥生月」ではないんでしょうね。ちょっとわかりませんでした。
他の別名には何がある?
花見月(はなみづき)・桜月(さくらづき)
どちらも、桜が咲くことに由来します。桜が咲く月だから「桜月」。桜のお花見をする月だから「花見月」。
昔は花見といえば梅だと聞いていますが、遣唐使廃止がきっかけで中国伝来の梅ではなく、日本古来の桜を愛でるようになっていったとの話がありました。
もちろんその頃にはソメイヨシノはないので、可憐(だと私は思っている)な山桜などを見てお酒を飲んでいたのかなと想像しています。
桃月(とうげつ)
3月は桜だけでなく、桃も咲きます。だから「桜月」に並んで「桃月」もあるんですね。
3月3日は桃の節句というほどに、3月は「桃」のイメージが強い気もします。
雛月(ひいなづき)
桃月でも書いたように、3月には桃の節句=雛祭りがあります。この「雛月」という名前もしっくりきますね。
花月(かげつ)、花津月(はなつづき)
上に書いたように、桜も桃も、他にも多くの花が咲き始めます。そのためにこの「花月」という名前もあるんですね。
花津月の「津」は、「の」の当て字だそうで、「花の月」ということでしょう。
建辰月(けんしんげつ)
旧暦での弥生の別名です。1月が「寅」2月が「卯」3月はその次の「辰」となります。
これまでにも書いたことですが、ここでも簡単に説明します。
北の空に常に見えているひしゃく形の北斗七星、そのひしゃくの柄にあたる部分が、旧暦の3月では「辰の方向」を指す(建(おざ)すという)ため、建辰月と呼ぶそうです。