文月は、もしかしたら一番由来があいまいなのかもしれないと思っています。
文(ふみ)とは、文字で書き記したもので、書物や日記などが含まれるようですが、それがなぜ7月と関係あるのか・・などを紹介していきます。
文月(ふみづき、ふづき)の由来
文被月(ふみひろげづき、ふみひらきづき)」が略されて「文月」に転じたという説が有力…とされているのですが、反論も強いようです。
まず文被月(文被=文(ふみ)を広げて晒す)とは、短冊に歌や願い事などを書きそれを笹に飾る、七夕の行事にちなんだ呼び方だといわれています。しかし奈良時代に中国から伝わった七夕は、古来日本にはなかった行事であり、疑問視する声もあります。
「文月」という呼び名は、奈良時代より前からあったそうなのです。となると、七夕で願いを書いたことが由来というのは無理があるように思えますね。
では他の説はというと、稲穂が膨らむことから「穂含月(ほふみづき)」が転じて「文月(ふづき)」になったという説、稲穂の膨らみが見られる月であることから「穂見月(ほみづき)」が転じたという説があります。
稲に由来する、こちらのほうが本当なのかもしれないですね。
他の別名には何がある?
七夕月(たなばたづき)
説明はいらないですね。七夕のある月ですね。
ただ、笹の葉に短冊などを飾る、今でいうお祭りの七夕を指しているのか、それともそもそも日本に古来からある「たなばた」(「棚機(たなばた)」という、水の神様に秋の豊作を祈る、古い日本の行事)を指していたのか、わかりません。
愛逢月(めであいづき)
こちらも七夕月と同様の意味なのですが、織姫と彦星が年に一度再会できる、その逢瀬を思っての名前で、より趣を感じますね。
七夜月(ななよづき)
七夕月と同じ意味のようです。江戸時代初期には「七夕」と「七夜」を同じ意味で使った歌もあり、七回の夜や七番目の夜の意味ではないようですね。
涼月(りょうげつ)
文月の終わりには暑さもやわらぎ、涼しい風を感じることもあるため、だそうです。
旧暦7月は8月~9月上旬なので、現在だと涼しい風を感じることは…あったかな?という印象ですが、昔のほうが涼しいので、9月にもなれば涼しさも感じられたのかもしれません。
女郎花月(おみなえしづき)
女郎花の花が咲く時期のため、この名前で呼ばれるようです。
女郎花は今あまりメジャーではない気がしますが、万葉集にも詠まれるほど昔から日本で親しまれている花だそうで、このように月の名前になるのも納得です。
親月(おやづき、しんげつ)
旧暦の7月にはお盆があります。お盆はお墓参りが欠かせず、親の墓参りをする月だから、というのが由来だそうです。
建申月(けんしんげつ)
旧暦での文月の別名です。1月の「寅」から干支のまわりで7月は「申(さる)」となります。
これまでにも書いたことですが、ここでも簡単に説明します。
北の空に常に見えているひしゃく形の北斗七星、そのひしゃくの柄にあたる部分が、旧暦の7月では「申の方向」を指す(建(おざ)すという)ため、建申月と呼ぶそうです。