子供の頃にこの「葉月」という名前を聞いたときは、確かに真夏は葉の色も濃くて生い茂っているから、と納得したものでしたが、どうやら全く違う由来でした。
今回は葉月の由来と、そのほかの8月の別名をご紹介していきます。
葉月(はづき)の由来
旧暦の8月は今の9月〜10月上旬、この時期に木の葉が紅葉して落ちることから「葉落ち月」「葉月」であるという説が有力とされています。
稲の穂が張る「穂張り月(ほはりづき)」、雁が初めて来る「初来月(はつきづき)」、南方からの台風が来る「南風月(はえづき)」という説もあるようですが、ちょっと「葉月」には遠い印象がありますね。
他の別名には何がある?
燕去月(つばめさりづき)
3月終わりから日本に飛来して繁殖をする燕が、南に去っていく月だから、というのが由来です。
雁来月(かりきづき、がんらいげつ)
燕は去りますが、雁は越冬のために日本に飛来する鳥です。
といっても、雁という名前の鳥はおらず、”鴨より大きく白鳥より小さい、カモ科の水鳥の総称”だそうです。平安時代の枕草子にも書かれるほど、身近な渡り鳥として昔から愛されてきたんですね。
雁は旧暦8月頃に日本にやってくるため、この名前がついたそうで仲秋す。
仲秋(ちゅうしゅう)
旧暦では7〜9月が秋で、7月を初秋、8月を仲秋、9月を晩秋と読んでいたそうです。
現在でも、月の名前ではないですが秋を指す言葉として初秋・晩秋は生きていますね。
仲秋といえば「月」でしょうか。ただ実はこれ「中秋の名月」が正しいようです。お月見の文化は古く中国の中秋節から来ているらしく、「仲秋」は旧暦8月を指し、「中秋」は中秋節でのお月見で使われる言葉のようです。
秋風月(あきかぜづき)
夏も終わり、秋の風が吹き始める季節だから、というのが理由だそうです。
涼しげな印象を受ける名前ですね。
月見月(つきみつき)
今も残る、中秋の名月のお月見の行事。十五夜は月齢15日目ということで、年に何度もあるのですが、旧暦の8月15日の十五夜の月が最も美しいそうです。
ススキやお団子を供えてお月見をする、この月を月見月と呼んだのですね。
木染月(こぞめつき)、紅染月(べにそめづき・こうぞめづき)
緑一色だった森や山の木々が、赤や黄色に染まっていくことから、木を染める・紅く染める月、ということが由来のようです。
萩月(はぎつき)
秋の七草の1つになっている萩の花が咲く月だから、というのが由来だそうです。
現在の暦9月のお彼岸に食べるのも「おはぎ」ですから、この月は「萩」が代表といった感じですね。
仙台の銘菓、「萩の月」も「萩が咲き乱れる宮城野(仙台東部にあった原野)の空に浮かぶ満月」に見立てている、というのが由来だそうです。
※秋の七草:萩(ハギ)、桔梗(キキョウ)、葛(クズ)、藤袴(フジバカマ)、女郎花(オミナエシ)、尾花(オバナ)、撫子(ナデシコ)
建酉月(けんゆうげつ)
旧暦での葉月の別名です。1月の「寅」から干支のまわりで8月は「酉(とり)」となります。
これまでにも書いたことですが、ここでも簡単に説明します。
北の空に常に見えているひしゃく形の北斗七星、そのひしゃくの柄にあたる部分が、旧暦の8月では「酉の方向」を指す(建(おざ)すという)ため、建酉月と呼ぶそうです。